陛下による兵士隊強化訓練日、兵士隊での通称は「地獄のしごきDay」。
今回のそれは兵士隊史上、最も過酷なものと語り継がれるであろう。
新婚ホヤホヤの陛下が愛妻に雄姿を見せるため張り切り、それを手助けるのは宮廷筆頭魔導師。
いつもの回復だけでなく催眠効果とかなんだそれ!と正気にもどれば叫びだすであろうことが二回も続けられたのだ。
もちろん二回とも陛下によってぼっこぼこにされて終わりを迎えることとなった。
その悪夢の日から数日後。
「小隊長~お加減いかがですか~。」
兵士隊の宿舎にある第三小隊長の部屋に、同副隊長がやってきた。
あの悪夢の日、訓練後はかなりの疲労が残るのは当たり前だが第三小隊長は重症であった。
訓練後も体を起こすことができず、数日をベッドの上で過ごしていたのだ。
「だいぶ、よくなった…。」
元気なく返事をする第三小隊長に思わず合掌して「ご愁傷さまです。」と付け加える。
回復は兵士隊みな平等に魔法によってなされているはずなのに、この第三小隊長の状況に疑問をもった副隊長は思い切って宮廷筆頭魔導師に尋ねてみた。
そして帰ってきた言葉に慄く。
「人のモノに手ぇだすと、どうなるか身を以って経験してもらってまぁーす☆」
あの魔導師はただチャラいだけではないのだ。ほんとに偉大なる魔法使いなのだ。
そしてランタニア城内至高の花(王妃除く)を愛でる一人の男なのだ。
「てか、小隊長が手をだしていい人ではないですよね。」
「バカヤロウ、いい男はいい女といるもんだろうがっ!」
ベッドの上で不自由ながらも目を輝かせる小隊長。
副隊長は「次は知りませんよー。」と軽く受け流す。
みゃーお
そこへ、可愛らしい猫の鳴き声が響いた。
途端動きをピシッと止めて、恐る恐る声のした方へと振り返るとそこには紫色の綺麗な毛並みに桃色の斑点をもつなんとも変わった子猫がチョコンとお座りしていた。
「小隊長、俺ほんとに次は知りませんからね。」
「おおおおおおおいおい・・・・見捨てんなってマジで!」
みゃーお
また子猫が鳴いた。
「仕置きが足りぬようじゃな?」
鳴き声がそう聞こえたのは幻聴であってほしい。いや絶対にそうだ!そうだって!!
と顔を青白くさせる第三小隊長。
彼の現場復帰のみちのりはまだ遠い。
本編第22話の終盤でアスカの対戦相手としてタイアップされた第三小隊長ですが、
実はそれもすべてジャンの思惑によるものだった。という裏話。
体が動かないは彼にだけ倍の催眠効果をかけて肉体酷使させたからなのでーす。
魔法使いのジェラシーは怖いのでーす。
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